園だより『元気いっぱい 2025年6月号』
- fk-studio
- 4 日前
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【目にうつるすべてのことはメッセージ】
5月、松任谷由美さんが、今会いたい人を招いて対談する自身のラジオ番組で、ちゃんみなさんと、これまで作詞してきた中で一番好きなフレーズを互いに言い合う場面がありました。400曲以上の歌を作ってきたユーミンが、今自分で選んだ言葉がこれです。子ども達の目に映るものをいつも気にかけている身として、ハッとさせられてしまいました。
これは約50年前の1974年にリリースされ、1989年には角野栄子さんの童話が原作のスタジオジブリ映画『魔女の宅急便』のエンディングソングとなった曲、『やさしさに包まれたなら』の歌詞です。「小さい頃は神さまがいて 不思議に夢をかなえてくれた」という言葉で始まる美しい歌を、どこかで聴いた方もあるのではないでしょうか。
ところで今、年長くじら組の教室には、子ども達が中央菜園で描いたジャガイモや玉ねぎの「上の部分」の鉛筆デッサンが飾ってあります。教室に入って目を見張ってしまいました。




実のなる「下の部分」を思い遣って、土の余白を十分にとった絵。
花が咲いた茎の根元に、小さな顔を覗かせている実も、コロコロと描いた絵。
大きく葉を広げて、植物をたくましい命として紙いっぱいに鉛筆を走らせた絵。
太陽と雲、空までを一つの風景と捉えて、花々の周りに見つけたありやてんとう虫をいきいきと描いた絵。
同じ風景を見ていながら、こんなふうにさまざまに、いきいきと描くことができる子どもたち。まなざしの多様性と個性は、子どもたちの生きる姿そのものです。並んだ絵には、それを大切に思う先生の心も映し出されているようでした。
「目にうつるすべてのことはメッセージ」
ユーミンが「深い」と感じ続け、ある意味「仏教的な」と語ったフレーズが、子どもたちのデッサンと共に立ち上がってきました。見えているものは、自分の心のままに映し出されたメッセージです。それが少しでも健やかで、幸せなものでありますように。
子どもたちの目に何が映るか、何を映すのか。傍にいる大人も、自分の心に耳を澄ます時です。
富士中央幼稚園・教育ディレクター
法人理事 小林浩子