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園だより『元気いっぱい 2025年10月号』

  • fk-studio
  • 9月30日
  • 読了時間: 2分

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【ワクワクしなくちゃ、つまらない】


〜柚木沙弥郎「永遠のいま」を見て〜


 静岡市美術館で開催されている『柚木沙弥郎 永遠のいま』に行ってきました。昨年101歳で現役のまま逝去された、日本を代表する染色工芸家の展覧会です。カラフルで上品な作風は多くの人に愛され、染色だけでなく版画や立体、さらには私たちにとって身近な『ぎったんこ ばったんこ』(福音館書店012)など絵本の製作にも取り組んでいました。


 柚木沙弥郎は、「用の美」を提唱した柳宗悦の弟子です。柳は、無名の職人が使い手を思い遣って作った日常の道具にこそ本当の美が宿ると唱え、「美しさの再定義」したことで知られています。素朴なものの中に見出された美しさと哲学に、私自身学生時代に卒論にしようと思うほど心惹かれていました。静岡にゆかりのある芹沢銈介は柳の同志であり、柚木に染色を教えた師でもあります。


 101年の生涯を全うした柚木の作品からは、人生を楽しむ姿がにじみ出ています。晩年には「用の美」を超え、自由闊達な作風が花開きました。インタビューでは「ワクワク」という言葉をよく口にしています。

「自分がうれしくなるような、ワクワクするものでなければ」

「見る人がワクワクしなきゃつまらない」

「ワクワクしている人が増えればいい」


「ワクワク」こそが柚木の原点でした。会場いっぱいに吊るされた大きな染め布に圧倒され、一つひとつの作品から放たれる明るい光を浴びて帰路につきました。


ちなみに、この全国巡回展のポスターや図録を手掛けたのは、私たちにも縁のある柿木原政広さん。思いがけず、自分の「ワクワク」とつながっていたことに気づきました。


子どもたちの「ワクワク」もまた、きっといつか人生を照らしてくれるはずです。


静岡市美術館HP:https://shizubi.jp



富士中央幼稚園・教育ディレクター

法人理事 小林浩子

 
 
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